「社員が安心して快適に働ける職場環境づくりを、一番に考えています」
そう語るのは、オフィス移転を果たしたスギウラ株式会社 代表取締役社長 向田氏。
倉庫不足と旧オフィスの老朽化という課題に対し、同社は既存倉庫の2階を全面改修。社員の働きやすさを徹底的に追求したオフィスへと生まれ変わらせました。
足元の冷えに配慮した電源設計や、受付を彩る「空色照明」など、細部にまで情熱を注いだ新空間。その結果、社員満足度の向上や清掃習慣の定着はもちろん、事務職求人に30〜40名もの応募が殺到するなど劇的な効果を生み出しています。また、空間が変わったことで社員一人ひとりのプロ意識も大きく高まりました。
今回は、前半で代表取締役社長の向田氏に、後半で社員の佐藤氏にインタビューを実施。オフィス移転がもたらした効果や、従業員間で起きた意識の変化について伺います。
1.【移転の背景】旧オフィスは夏は暑く、冬は寒い環境だった

ーー 本日はよろしくお願いします。まず、移転の背景を教えてください。
向田氏:きっかけは倉庫のスペース不足です。以前は外部に倉庫を2箇所借りていたのですが、荷物の搬送が現場の大きな負担になっていました。そこで敷地内の保管量を増やすため、敷地内にあった事務所を取り壊して新しい倉庫を建てることにし、既存の2階建て倉庫の2階を改装し事務所にすることにしました。
ーー 移転のきっかけは倉庫の問題だったのですね。
向田氏:きっかけは倉庫の問題でしたが、実は旧オフィス自体も同じくらい大きな課題を抱えていました。とにかく建物が古く、スチールサッシからの隙間風で冬は寒く、夏は暑い環境だったんです。それに建物自体が傷んでいると、中を綺麗に保とうという意識も働きにくく、オフィスが散らかりがちだったのも悩みでした。だからこそ新しいオフィスを計画する際は、「とにかく社員が快適に働ける空間にしよう!」と徹底的にこだわりましたね。


2.【プロジェクトの進め方】書類や備品は8,9割処分した
ーー どのようにプロジェクトを進められたのですか?
向田氏:まずは設計事務所と建築会社に依頼することからスタートしました。その後は私と物流部メンバーの2名体制でプロジェクトを進めました。なぜ物流部かというと、建築工事の作業車と当社の配送トラックの動線調整が不可欠だったからです。あわせて各部署から有志を募り、新オフィスへの要望を自由に挙げてもらいました。
ーー 社内の意見も拾いながら進められたのですね。具体的にどんな要望が挙がったのでしょうか?
向田氏:特に切実だったのが応接室ですね。以前はパーテーションで区切られているだけの空間だったため、複数のお客様が同時に来社された際にお互いの視線や会話が気になってしまう課題がありました。そのため、今回は遮音性やプライバシーに配慮したしっかりとした個室の応接室をつくり、お越しいただくお客様にも安心して過ごしていただける環境を整えました。
ーー 現場の声もしっかり形にされたのですね。では、プロジェクトを進める上で大変だったことは何でしょうか?
向田氏:一番は、不要なモノの処分ですね。「何」を「どのくらい」捨てるべきかの判断が非常に難しかったです。そこで、今回のレイアウトや家具の選定を担当していただいていたアサヒ商会さんにご協力いただきました。
以前、アサヒ商会さんのライブオフィスを見学させていただいた際に「環境整備」の取り組みを知っていたので、ぜひその部分でも力をお借りしたいとお声がけしたんです。実際に、不用品の整理方法だけでなく、移転後も見据えた環境整備のチェック体制まで多角的なご提案をいただきました。そのご提案をもとに社内の「環境整備委員会」が中心となり、全社を挙げた不用品整理を実施しました。結果として書類は7〜8割、備品は9割ほどを一気に処分でき、長年混沌としていた事務所内が見違えるほどスッキリしたんです。この最初の整理をプロの伴走のもとでしっかり行えたおかげで、その後に控えていた移転作業全体の負担も大幅に軽減されました。


ーー プロジェクトを進める中で、直面した壁や苦労はありましたか?
向田氏:設計事務所さんが柔軟に提案してくれたおかげで、進行上のストレスはまったくありませんでした。プロが入るとこんなに快適なのかと感動したほどです。また什器もアサヒ商会さんにリードして頂いたので問題はなかったです。ただ、既存の建物を改築するがゆえの構造上の壁は2つありました。1つ目は水回りです。倉庫時代の配管の名残から水場を作れる場所が限定され、トイレと台所の配置に制約が出ました。2つ目は階段が二つあったのですが当然動かせないので、隣接のスペースに制約が出たことです。食堂やロッカー室を希望の広さにできず悔やむ部分はありましたが、こればかりは仕方ありませんでした。
3.【オフィスのこだわり】OAフロア、青空照明、バリアフリー……「ストレスゼロ」を突き詰めた空間
ーー 続いて、新オフィスのこだわったポイントをお聞きしたいです。設計にあたってかなり力を入れられたと伺いましたが、いかがでしょうか?
向田氏:こだわったポイントはたくさんあるのですが、一番は事務所内のOAフロア化です。足元に配線がないだけで快適さが断然違いますからね。これに伴って、電源周りの設計にもかなりこだわりました。特に工夫したのがデスク周りです。ここは1階が倉庫で下から冷気が上がってくるため、各自が専用のセラミックヒーターを使えるよう、設計段階からコンセントを組み込みました。ブレーカーが落ちないようパソコン用とは完全に電源を分け、ひと目で専用だとわかるようにしています。

ーー 細かいところまで社員の快適さを徹底されているんですね!ほかのこだわりポイントは何でしょうか?
向田氏:プリンターの配置も見直しました。小型のプリンターを各デスクの中心に分散させて配置しているんです。以前はフロアの中央に大きな複合機が1台あるだけで、出力のたびにいちいち取りに歩く必要がありました。1回につき5秒、10秒のことですが、1日に何十回も往復するのは面倒です。今は、わざわざ立ち上がらなくても、座ったまま少し手を伸ばせば書類が取れるようになっています。

ーー 座ったまま手が届くのは楽ですね!日々のちょっとした手間がなくなるだけで、働きやすさが大きく変わりそうです。
向田氏:また、青空照明もこだわりですね。受付には窓がないので少し閉塞感があると思いました。そこで青空照明をつけることで雰囲気が柔らかくなりました。これは実際の外の光を取り入れているのではなく、LEDの光と特殊なパネルを使って空が青く見える自然現象を人工的に再現している仕組みなので、外の天気に関係なくいつでも鮮やかな青空の色なんです。


ーー 青空照明とは珍しいですね!天候に関わらず、いつでもパッと明るく開放的な空間でお客様を迎えられるのは素敵です。
向田氏:これ一つでだいぶ印象が変わりますね。もう一点こだわりとは少し違うかもしれませんが、ユニバーサルトイレも設置しました。車椅子の方や足の不自由な方でも不便なく使えるよう、スペースや手すりの配置まで細かく配慮しています。現在は必要とする社員はいませんが、将来的に多様な人材を迎え入れる準備でもありますし、どんな方にとってもストレスなく過ごせる環境にしたかったんです。

4.【移転後の効果】「求人応募30〜40名殺到」の反響も!

ーー 実際に新しいオフィスが稼働して、社員さんの働き方や社内の空気に変化はありましたか?
向田氏:まず、空調が整ったことや什器が一新されたことで、社員の満足度が格段に向上しました。旧オフィスの悩みだった「夏は暑く、冬は寒い」という環境が改善されたのが一番大きいですね。また古かった什器をすべて新しいものに替えたことで、視覚的にも清潔感が生まれ、社員のモチベーションアップに直結しています。さらにOAフロア化によって足元の配線がスッキリした結果、日々の細かなストレスがなくなり、業務への集中力も上がったように感じます。空間そのものが快適で綺麗になったことで、社内の空気も自然と前向きで明るくなりましたね。
ーー 環境の改善が、社員の皆さんの心身のストレス軽減に直結しているのですね。空間が新しくなったことで、日々の行動などで変わった点はありますか?
向田氏:社員に「綺麗に使おう」という意識が明らかに芽生えました。移転を機に、個人の私物は指定のボックス1個分しか認めないルールにしたことで、机の上に書類が放置されることもなく綺麗な状態が維持されています。また清掃面でも大きな変化がありました。今はやればやった分だけ綺麗になるので、昔は面倒くさがっていたような社員でも、昼休みや空いた時間に自発的に掃除をしてくれるようになったんです。
実は移転前から毎朝5分間の清掃はやっていたのですが、以前の事務所は窓枠が錆びて床のタイルも割れているような古い建物だったので、いくら雑巾掛けをしても永遠にホコリが出続けていました。MAXの綺麗さが「3」の空間ではどれだけ頑張っても「3」にしかならず、限界があって誰もやりがいを感じていなかったんです。しかし今は、MAXの綺麗さが「10」になったので、8割の力でもかなり綺麗に保てます。「頑張れば成果が出る」という環境になったことが、社員の自主的な行動に繋がっていると感じますね。
ーー 環境が変わったことで、移転時の清潔感を維持できているのですね。他に変化はありましたか?
向田氏:仕組みの面でも大きな変化がありました。アサヒ商会さんに「環境整備チェックリスト」を見せていただき、当社独自のチェックリストを作成しました。そのおかげで現在でも、日常的な清掃の実施や記録、さらには取締役による月1回の環境整備点検を継続できています。この運用ルールができたことで、社内に環境整備の意識がしっかりと根付いたと感じています。
ーー採用面でも何か変化はありましたか?
向田氏:ありましたね。移転直後に事務職の募集をかけたところ、30〜40名もの応募が殺到したことには一番驚きました。面接しきれないほどの嬉しい悲鳴で、古い事務所の時とは大違いです。求職者が会社の公式サイトでオフィスの写真を確認したためだと思います。
ーー それは大きな変化ですね!移転にあたってもっとここはこうすればよかったと思う点はありますか?
向田氏:ひとつ挙げるとすれば、エレベーターを出たところから受付までの空間にも、エアコンをつければよかったという点ですね。

ーー ええ! 受付まではたった数歩の距離ですよ?
向田氏:そうなんですが、エレベーター内には空調がないんです。だからこそ、お越しいただくお客様はもちろん、毎日通勤してくる社員にも、扉が開いた瞬間に快適な環境で迎え入れたかったんですね。エレベーターを降りた第一歩目からストレスを感じさせない空間にしたかったのが本音です。
5.【今後の展望】経営理念を自然と体現できる組織へ
ーー 最後に、今後の展望を教えてください。

向田氏:まず一番に考えているのは、社員が安心して快適に働ける職場であり続けることです。
社員が安心して働くためには、ご本人だけでなくご家族の安心も不可欠です。そのためには給与や福利厚生、様々な制度の充実が欠かせません。当社の規模では容易なことではありませんが、愚直に向き合っていきたいと思っています。そして、当社の経営理念である「地域のお客様に安心・快適・便利をお届けする」という使命を、全社員が自然と体現できる状態を作ること。そのためには絶え間ない創意工夫が必要であり、並大抵の努力では届かないかもしれません。それでも、「創意工夫を重ねることが当たり前だ」と誰もが思えるような組織を、みんなで築いていきたいですね。
向田氏が「社員のため」を想い、徹底して細部までこだわり抜いた新オフィス。その想いは、現場で働く社員にどのように届いているのでしょうか。
ここからは、社員の販売支援部課長代理 システムマネジメント室(兼)室長代理 佐藤氏にバトンタッチ。移転を機に起きた意識の変化や今後の働き方について話を伺いました。
6.【社員の実感】「朝の10分間清掃」に主体的に取り組むようになった

ーー 先ほど、向田さんから「オフィスが新しくなったことで、社内の空気が自然と前向きで明るくなった」というお話がありましたが、社員の皆様から見ていかがですか?
佐藤氏:はい。内装が綺麗になったことで気分も明るくなりましたし、空調などの環境が整って働きやすくなったという実感は強くあります。休憩スペースなども綺麗になり、以前に比べて社内全体のトーンが格段に明るくなったように感じますね。
ーー コミュニケーションが増えた、といった変化はありますか?
佐藤氏:単純に会話の量が増えたというよりは、コミュニケーションの質が「柔らかくなった」という感覚があります。みんな、なんとなく人への当たりが優しくなっているんですよね。新しくて綺麗な空間にいることで、気分の良さがコミュニケーションのとり方にも直接表れているのだと思います。
ーー 以前の事務所だと、働きづらさを感じることもあったのでしょうか?
佐藤氏:「昔からの建物だから仕方ない」と割り切ってはいましたが、雨漏りがしたりヒビが入っていたりすると、「古いな…」と少し気分が落ち込んでしまうことはありましたね。今は環境が整っているので、本当に気分良く仕事に集中できています。
ーー ありがとうございます。また、向田様からは「社員に『綺麗に使おう』という意識が芽生えた」とのお話もありましたが、その点についてはいかがですか?
佐藤氏:おっしゃる通りです。これは私自身にとっても予想外の変化だったのですが、「朝の10分間清掃」に対する意識が大きく変わり、みんなが主体的に清掃するようになりました。新オフィスになって、「この綺麗な空間を保ち続けたい」という気持ちが自然と湧き上がってきたんだと思います。
ーー やった分だけ成果が目に見えるようになったことが、皆さんの意識を前向きに変えたのですね。他にも予想外のポジティブな変化はありましたか?
佐藤氏:個室の応接室ができたことで、お客様からの反応が良くなったことですね。元々はパーテーションで区切っただけの手作り感のあるスペースでしたが、今回はきちんとした応接室ができました。その結果、お越しいただくお客様から「立派になりましたね」と褒めてもらえることが増えました。これは私たち社員の自信や誇りにも繋がっています。


7.【現場ならではの気づき】社員のやる気が底上げされた
ーー次に現場ならではの気づきを伺いたいです。
佐藤氏:休憩室ができたことで、仕事と休憩のメリハリがつくようになりました。以前は自席や事務所の端で食事をしていましたが、今は仕事をする場所と完全に休憩する場所が明確に分かれています。顔を合わせて食事をしながら雑談する時間が生まれ、良いコミュニケーションの場になっています。

ーー 自分のデスクから離れて頭を切り替える場所があるのは大切ですよね。 他に現場の気づきはありますか。
佐藤氏:働く環境が新しくなったことで、会社に対する愛社精神が湧きましたね。心から誇れる環境で気分良く仕事に打ち込めるようになったことで、会社に対する愛着は向上しました。何より、社員全体の「よし、やるぞ」という意気込みややる気が底上げされたと肌で感じています。
8.【今後の働き方】素晴らしいオフィスに応えるため、社員一人ひとりがプロ意識を高めていく

ーー 今後新しいオフィスでどのように働いていきたいですか
佐藤氏:最初にこの新しいオフィスに入った時、「今の我々には少し立派すぎるかもしれない」と感じるくらいの感動があったんです。だからこそ、「この素晴らしい空間に見合う会社になれるよう、我々社員もレベルアップしていかなければいけない」と心に決めました。
ーー 「オフィスに見合うように自分たちも成長する。」すごく身が引き締まる良い言葉ですね。
佐藤氏:せっかくここまで素晴らしい環境を用意してもらったのですから、社員の質も上げていかなければ申し訳ないですからね。「こんなに綺麗なオフィスで働いているんだから、やっぱり『さすがスギウラさんだよね』と言っていただけるようなプロ意識を持たなければ」と。日々、みんなで高め合っていけたらいいなと常に思っています。