「移転によって、建物がコンパクトになってしまうーー」
造園・緑化事業で創業48年目を迎えた株式会社高崎松風園。節目に持ち上がった社屋移転で同社が直面した最大の壁は、敷地が狭くなりオフィススペースが限られてしまうことでした。
一階が店舗、二階が事務所という条件のなかで、同社が導き出した答えが、事務所の「ワンフロア・フリーアドレス」の導入です。結果として空間不足を解消しただけでなく、部署間のコミュニケーション活性化やミスの削減を実現した同社。その変化は社外にも波及し、入社希望者の増加や客層の拡大にまで繋がっています。 今回は、前半で株式会社高崎松風園 代表取締役 山口氏にオフィス移転の舞台裏を伺いました。後半では現場メンバーの青木氏・櫻井氏に現場で生まれたリアルな変化を伺いました。
- 【移転の背景】コンパクトな新社屋へ。「限られた空間」をどう有効活用するか
- 【プロジェクトの進め方】社員を巻き込み、ベンチマーキングしている会社へ見学
- 【直面した壁】避けられない「スペース問題」。ワンフロア・フリーアドレスへの挑戦
- 【オフィスのこだわり】案件数の見える化でスーパーマンに頼らない仕組みへ
- 【移転後の効果】意思疎通のスピードが早くなり、ミスが格段に少なくなった
- 【予想外の変化】社内に活気が溢れ入社希望者が増えた
- 【今後の展望】「最大の資産は社員」。社員満足度を高め、お客様に還元していく
- 【社員の実感】メンバーと接触する機会が格段に増え、声をかけやすくなった
- 【現場ならではの気づき】子育て中のスタッフでも働きやすい環境へ!
- 【予想外の変化】新オフィスになり客層が若くなった!?
- 【今後の働き方】社内全体で協力し合える温かい関係性を築いていく
1.【移転の背景】コンパクトな新社屋へ。「限られた空間」をどう有効活用するか

ーー 本日はよろしくお願いします。まず、社屋移転の背景を教えてください。
山口氏:よろしくお願いします。まず背景としては、創業48年のタイミングで地域の区画整理があり、元々隣にあった旧社屋から引っ越さなければならなくなったことがきっかけです。
ーー やむを得ない事情だったのですね。
山口氏:そこで隣の敷地を新たに購入して新社屋を建てたのですが、移転に伴って敷地も狭くなり、建物自体も少しコンパクトになりました。そこで「いかに限られた空間を有効活用するか」が、最大の課題として浮かび上がってきました。うちの会社特有の事情として、全社員の約半分は日中に現場へ出る職人で、会社にいるのは朝と夕方だけなんですね。残りの半数はオフィス内で図面作成や事務を行う内業メンバー。日中と朝夕で、社内にいる人数がガラリと入れ替わります。
ーー 働き方や時間帯によって、社内の人数が大きく変化するわけですね。
山口氏:はい。この「使う時間帯によって人が入れ替わる」という特徴を捉えたとき、旧社屋のように広いスペースをただ漫然と確保し、日中は誰も使わないエリアがあるようなレイアウトでは、到底このコンパクトな新社屋には収まりきらないと考えました。旧社屋は本当に広々としていたのですが、今思えば空間の使い方の色々な部分で無駄があった。新社屋ではその無駄を無くし、限られた建物面積をいかに有効に機能させるかが一番の勝負でしたね。

2.【プロジェクトの進め方】社員を巻き込み、ベンチマーキングしている会社へ見学
ーー 今回のプロジェクトのメンバーと期間を教えてください。
山口氏:私が主導し、建築士さんと社内メンバーを交えて進めました。社内からは、現場担当、内業担当、店舗部門からそれぞれリーダーとなる人間を3名指名し、プロジェクトチームを結成したんです。土地の取得から設計までに1年弱、そこから着工して完成までに1年ちょっと、トータルで約2年かかりました。
ーー各部署のリーダーを交えて行ったのですね。具体的にプロジェクトはどのように進めたのですか
山口氏:設計が決まるまでは、定例会議として月に2回、1回あたり1時間ほどのミーティングをリーダーたちと重ねて、意見を出し合いました。またオフィス見学も行いまして、建築士さんと一緒に私がベンチマークとしている企業を見学しに行ったりしました。また内勤メンバー全員を連れて、アサヒ商会さんのライブオフィス見学へ行きました。 実際のオフィスの使い方を全員で学び、「フリーアドレスがいいな」とか、個々人の私物のボックスの置き方、レターケースの管理方法などに関しては学ばせていただきましたね。勉強会でいいところの事例をスライドにまとめて共有したり、ベンチマークの会社を見に行ってみんなで何度もミーティングをしました。ただ新しい家具を入れるのではなく、全員が「能動的に働ける環境を自分たちで作るんだ」というマインドを、このプロセスを通じて醸成していきました。
3.【直面した壁】避けられない「スペース問題」。ワンフロア・フリーアドレスへの挑戦
ーー 最終的には社員を巻き込んで行ったのですね。プロジェクトを進める中で壁にぶつかった瞬間といえば、やはり「限られたスペースをどう有効活用するか」でしょうか。
山口氏:はい。その通りです。会社というのは当然、将来的な成長を目指していますよね。スペースにまったく余力がないと、今後の人員増強や事業拡大に対応できなくなってしまいます。とはいえ、限られた敷地の中で無限に店舗や事務所を広く作れるわけではない。この、人員も会社の規模も成長するという仮定と、スペースのバランスをどう見極めるかのジャッジが一番難しかったですね。
ーー そのスペース不足の壁は、どのように解決されたのでしょうか。
山口氏:おおよそ5年後に、会社をどのくらいの規模にしたいかという「経営計画」を立てながら逆算しました。売上や利益の目標だけでなく、人員の雇用計画、日々の1階店舗への来場者数などのベースとなる過去の数値を基準にして、事務所やミーティングルームのスペースを決めました。 その上で、「時間によって空間をシェアして使う」仕組みにすれば、限られたスペースでもいけるなと判断したんです。そのため固定席から「ワンフロア・フリーアドレス」への移行を決断しました。
4.【オフィスのこだわり】案件数の見える化でスーパーマンに頼らない仕組みへ
ーー オフィスのこだわりについて教えてください。
山口氏: 一番こだわったのは、業務の進捗を可視化する「ファイルエリア」です。ここには、営業や現場の担当者ごとに、進行中のお客様の案件ファイルを並べています。固定席だった旧社屋では、各自のデスクに案件ファイルが山積みになっていて、誰がどれだけの仕事量を抱えているのか分かりづらい状態でした。そこでフリーアドレス化に伴い、案件ファイルはすべて棚で整理することを徹底したんです。その結果、ファイルの数を見るだけで「誰がどのくらい案件を抱えているか」「誰に余裕があるか」が一目で可視化できるようになりました。デスクの書類がなくなったことで、オフィスの見た目もすっきりしましたね。

ーー 社員の業務量を「ファイルの数」で可視化して管理されているのですね。
山口氏: これまでは、特定の「スーパーマン」的な社員が1人で多くの案件を抱え込んでしまい、その人が病気や育休で休むと現場が回らなくなるというリスクがありました。属人化を防ぎ、誰でも休みを取りやすい環境を作るためには、仕事の平準化と分散化が不可欠です。そこでファイルを棚で可視化し、「この人に業務が偏っているから、別の人に振ろう」という会話がリアルタイムでできるようにしました。業務に余裕がある人には新しい仕事に挑戦してもらうことで、組織全体のボトムアップと、負担の分散を両立できています。
ーー 業務の見える化が、タスク管理だけでなく「お互いに助け合える体制づくり」に繋がっているんですね。
山口氏:そうですね。今は会社全体としてかなり休みもとりやすい状況になっていると思います。 「自分が休んだら現場が止まってしまう」「お客様に迷惑がかかるから育休なんて言い出せない」という見えないプレッシャーを社員に与えないこと。万が一、突発的な欠員が出ても「大丈夫だから安心して休んどいで!」と笑顔で送り出せる会社にしておくこと。それこそが会社のリスク管理であり、社員が安心して長く働き続けられる環境づくりにおいて、大切なことだと考えています。
ーー 社員のみなさんが安心して休みを取れる環境は素晴らしいですね。先ほどから気になっていた半屋外のスペースもすごく素敵です! あちらもこだわりのポイントでしょうか?

山口氏:そうですね、あのスペースもこだわりの一つです。そこからは弊社のツリーハウスや、すぐそばを流れる利根川の豊かな景色が一望できるんですよ。なのでずっとパソコンに向かっていて行き詰まったときや、少し気分転換をしたいときに、作業をするスタッフも多いですね。川のせせらぎや風を感じながら仕事をすると、パッと視界が開けて新しいアイデアが浮かんだりするんです。まあ、今の時期(撮影当時:7月)なんかはさすがにちょっと暑いですが(笑)
5.【移転後の効果】意思疎通のスピードが早くなり、ミスが格段に少なくなった

ーー 新しいオフィスが稼働し始めてから、社内にはどのような変化や効果がありましたか。
山口氏:まず、意思疎通のスピードが早くなりました。今までは部署によって建屋自体が違ったんですよ。なので目に見えない若干の「億劫さ」が出てしまうんです。それが原因で、打ち合わせ不足によるミスや遅れがありました。 それが今回、すべてをワンフロアにしたことによって、隣にすぐ誰かがいる形になり、意思疎通がしやすくなりました。ミスが格段に少なくなったことは、コスト的にも顧客満足的にも大きな効果があったなと思います。さらに、場所がバラバラだった頃はそれぞれに必要だったOA機器や電気も1箇所で済むので経費の削減や省エネにも繋がっています。
ーー 意思決定のスピードもコストも改善されたのですね。ところで、移転時の最大の課題だった「コンパクトになった新社屋に、社員全員が収まるのか」という点はフリーアドレスによって解決しましたか?
山口氏:その点は解決しました。朝と夕方だけ社内にいる工事部や営業のメンバーと、日中ずっと社内で作業する内業メンバーが、お互いに場所をバトンタッチするように使うことで、面積を有効活用できました。人員増加に伴って物理的なスペースには限界が近づいていますが、「空間の使い方」でカバーしています。当初は2階のオフィスだけだったフリーデスクを、1階の店舗や共有スペースも含めた建物全体をひっくるめてフリーデスク化しているんです。例えば、たまたま1階の席が空いていればCADオペレーターの女性スタッフがそこで集中して作業をしたり、夕方になれば現場から帰ってきた社員同士がそこでミーティングをしたり空間をフルに有効活用できています。

ーー 社員のみなさんの働き方と空間が見事にマッチしていますね! 他に新オフィスの効果はありましたか?
山口氏: オフィス移転に伴って、書類と備品の大幅な削減ができたことです。まず書類については、単に新オフィスへ持ち込むのではなく、本当に必要なもの以外は破棄し、スキャンしてクラウド保存する形へと移行しました。次に備品については、アサヒ商会さんに見学でお伺いした際に学んだ5S活動を取り入れました。移転時には「不用品付箋」というラベルを作成し、「自分はいらないと思うけれど、最終判断をお願いします」と上長にチェックしてもらう仕組みを作ったことで、荷物を一気に減らせました。現在も各部署で日別の5S点検項目を作成し、管理を継続しています。例えば、店舗の観葉植物の水やりや消耗品のチェックなどをルーティン化して点検しているんです。「定置管理(物の定位置を決めること)」を徹底したことで、備品の放置や無駄な買い足し、紛失がなくなるなど、ものすごい効果を感じています。
ーー 書類のデータ化や不用品付箋での仕分けによって、事務用品をスリム化されたのですね。また日々のルーティンの中に5Sを組み込むことで、リバウンドせずに美しいオフィスが維持されているのは素敵だと思います。

6.【予想外の変化】社内に活気が溢れ入社希望者が増えた
ーー移転前後で予想していなかった変化があれば伺いたいのですがいかがでしょうか。
山口氏:一番思いがけない効果だったのは、入社希望者が増えたことです。昔は、入ってきた時にフロアがバラバラだったり古かったりして、場所ごとに人がポツンポツンといるような感じでした。雰囲気的にも少しどんよりしたイメージがあったんじゃないかと思うんです。 今はフリーアドレスになって、パソコン作業だけならカウンター、図面を広げて手書きをするときはテーブルがあるところ、というように業務によって場所を変えられますし、みんなの雰囲気が明るいです。「この会社だったら楽しく働けるんじゃないか」という活気のあるイメージを持たれているのだと思います。離職する人も少なくなりましたね。
ーー 採用の効果があったんですか!確かにワンフロアだと活気が伝わりますよね。現場の方々から、ワンフロアやフリーアドレスに対する戸惑いの声はなかったのですか。
山口氏:最初は、若干戸惑いはあったんじゃないかなと思います。ただ、意思疎通がいい、風通しのいい会社になったなというのは感じるので、皆も満足していると思います。 私自身も、今までは部下のデスクが並んでいて部長や社長がいるというフォーメーションだったんですけど、今はオープンなフロアにいるので、「社長」と声をかけやすい環境だと思います。

ーー ワンフロア化によって外勤と内勤が同じ空間で働くようになり、何か困ったことなどはありましたか。
山口氏: 困ったことは特にありませんが、ワンフロア化に伴って社内の身だしなみや運用ルールは改めて整理しました。例えば現場から戻った際に、汚れた格好のままオフィスに入ってこないよう、入口に足拭きタオルやエアシャワーを設置したんです。さらに、道を挟んだ倉庫でキレイな服に着替えてから入ることや、お客様がいらっしゃれば必ず挨拶をする、といった決まりを徹底して運用しています。
一方で良い影響として、同じ空間で働くようになったことで部署同士のリスペクトが深まったと感じています。内勤のメンバーには、朝礼などで「この猛暑の中でも現場で頑張ってくれる仲間がいるから、会社が回っている。感謝を忘れないようにしよう」と意識的に伝えています。現場で施工してくれて初めて利益になるわけですからね。
7.【今後の展望】「最大の資産は社員」。社員満足度を高め、お客様に還元していく

ーー新オフィスを通じてどんな会社にしていきたいか教えてください。
山口氏:まずはお客様に喜んでいただくことが大前提にあります。ただそれと同時に、社員が「ここで働けて嬉しい」「この仲間とずっと一緒に仕事がしたい」と思える会社にしていきたいんです。 お客様満足を作るためには、それを提供するための社員の満足が必要なんです。
ーー なぜお客様の満足を作るには社員の満足が直結するのでしょうか。
山口氏:うちは、目に見えないものを売る商売なんですよね。元々お庭はCADで図面を作ってイメージを膨らませていただいて、それを現場で作り上げて形にしていく。すべて、目に見えなかったものを人が説明をして現実化してあげる商売で、そこには全部うちの社員が関わっていくわけです。製造業みたいに機械で流れていったり、モノが届くという商売ではない。人が窓口としてお客様とやり取りしていくためには、社員のみんながいい顔をしてお客様に接していくことが何よりも重要になってくる。だからこそ、社員のみんなが仕事をしながらも、同時に公私ともに成長し、自己実現ができるようなことを環境を整えることが大事なのかなと思っています。
ーー 「モノ」ではなく「人」が価値を生む商売だからこそ、社員の方々が活き活きと働ける環境づくりが大切なんですね。今回のオフィス移転もすべては社員のみなさんの自己実現や笑顔に繋がっているのだと実感しました。
山口氏の決断によって実現した「ワンフロア×フリーアドレス」への移行。かつて部署ごとにエリアが分かれていた現場には、どのような変化が起きているのでしょうか。
ここからは、現場で業務を担うガーデンデザイン課の青木氏と櫻井氏お二人にインタビュー。以前のオフィスで感じていた壁や、移転後に生まれたリアルなコミュニケーションの変化、そして現場ならではの思わぬ発見についてお話を伺います。

8.【社員の実感】メンバーと接触する機会が格段に増え、声をかけやすくなった
ーー 先ほど山口さんのインタビューで新オフィスになりコミュニケーションが活性化されたというお話があったんですけども、お二人から見てどうですか。
青木氏:かなり話しやすい雰囲気になっていると思います。以前のオフィスでは、頻繁に外に出ている外勤の人と内勤の人で、完全に空間が分かれていたんです。正直、ちょっと近寄りがたいなという雰囲気が漂っていました(笑)。特に私はまだ会社に入りたての頃だったので、独特のプレッシャーや壁のようなものを感じていたんです。それが今では、ワンフロアになって誰がいるのかが一目で分かるようになりました。格段に声をかけやすくなりましたね。
ーー 以前は、やはり話しかけづらい距離感があったのですね。
青木氏:そうですね。今は逆に、お互いに当たり前のようにそこにいる感じなので、最初からこのオフィスだったら、もうちょっと早く打ち解けられたのかなと思うくらいです。
櫻井氏:昔のオフィスは、敷地内に部署ごとにプレハブ小屋のようなのが点在していて外勤と内勤のエリアできれいに分かれていたんですよね。だから、昼間は外勤の人のエリアがどんよりと暗くて…。夕方以降に現場から人が戻ってこられたら、ようやく社内の人間がわざわざと増えていくような状況でした。本当に、昼と夕方の差がすごいありましたね。
ーー以前は接触する機会が少なかったんですね。今ではプライベートの話とかも、結構増えたんですかね?
青木氏:はい。何気ない話はするようにはなりましたね。
櫻井氏:接する機会が増えたこともそうですが、部署ごとに「こういう仕事をしてるんだな」っていうのがお互いにわかるようになったのも話すきっかけになっていると思います。
ーーフリーアドレスの導入も大きな変化ですね。現場ではどのように活用されているのですか?
櫻井氏:現場の方たちは、帰ってきてから空いたところを使っているんですけど、私は使うファイルや備品の近くに座るようにしています。
青木氏:私は、お客さんが来たらすぐわかるように入り口の正面で作業して、お客さんのアポが入っているときは来客用スペースで作業をしています。

9.【現場ならではの気づき】子育て中のスタッフでも働きやすい環境へ!
ーー続いて現場ならではの気づきを伺いたいです。
櫻井氏:案件ファイルの共有化によってメンバー間で連携がとりやすくなっています。以前は固定席だったので、自分の資料は管理はしやすいんですけど、他の人が資料がどこにあるか一切わからない状態だったんです。今はファイルを共有スペースで管理しているので、資料の場所が明確になり連携がとりやすくなりました。
青木氏:現場の人から、「今日ファイル持ってないのでそこの住所教えてください」とか「電話番号教えてください」って言われた時に、ぱっとファイルを引いて、伝えられるようになりました。
ーー「案件ファイルの共有化」によって連携が取りやすくなっているんですね。
青木氏:そうですね。情報の共有だけでなく、働きやすさの面でも大きな変化がありました。 以前は各々のデスクで案件を管理していたため、周りから仕事量が見えず、一人に業務が集中してしまうことがありました。業務を断ろうにも「忙しいです」とは言いづらいので(笑)。 ですが今は、ファイルを共有化したことで、誰がどれくらい業務を抱えているかがひと目でわかります。仕事の偏りがなくなり、忙しいときには自然と他の人に業務を分担できるようになったため、かなり負担が減りました。 私のように育休をとったり、子供の急な体調不良でお休みをもらったりする場合でも、他の人に引き継ぎやすくなったので、すごく休みが取りやすくなりました。
櫻井氏:バックオフィスを担当している私にとって、全体の業務量が一目で把握できるのはありがたいですね。また業務量が多い時期はしっかり集中して働き、落ち着いている時期はお休みをいただいたりと、メリハリのある働き方ができるようになりました。
ーーーー業務の見える化で社内の負担が減ったんですね。 他に現場ならではの気づきはありましたか?
青木氏:はい。全部署が一つ屋根の下に集まっているため、お客様対応の引継ぎがスムーズになりました。例えばお客様が来た時に総務の方が1回お話を聞いて、それから「営業向けの話だな」となれば営業部に繋ぐんですけど、前はエリアが離れていたので結構時間がかかっていました。でも今はすぐに対応ができるようになったので、スピード感が出たなと実感しています。
10.【予想外の変化】新オフィスになり客層が若くなった!?
ーー オフィスが新しくなる前後で、何か想定していなかった「予想外の変化」はありましたか?
櫻井氏:備品がかなり減りました。引っ越し前に必要なものと必要でないものの選別をして、「あ、こんなに備品が減るんだ」って気づかされましたね。棚とかチェストとか机とかは、前のものは全部処分しました。
ーー 大胆に処分されたのですね。青木さんは何か予想外の変化はありましたか?
青木氏:外装や内装の雰囲気が明るくなってふらっと来るお客さんがすごい増えたと感じています。前の社屋だと予約のお客様がほとんどで、飛び込みのお客様はあまり多くなかったですね。今は結構、「あれ、ここなんですか?」みたいな風に来客頂いて「せっかくだからちょっと相談させて」っていうのは、やっぱり増えました。

櫻井氏:確かに立ち寄る方は増えましたよね。あといらっしゃるお客様って結構、昔からの付き合いのお客様がメインだったんですけど、うちに来てから若い方が多く客層が変わったんです。お店の雰囲気もそうですが、キッズスペースやツリーハウスがあるのでお子様連れの方も来やすくなっているためだと思います。

11.【今後の働き方】社内全体で協力し合える温かい関係性を築いていく

ーー 今後、この新しいオフィスでどういうふうに働いていきたいのか、これからの展望を教えてください。
青木氏:お互いに顔が見えて声もかけやすくなり、コミュニケーションが取りやすくなったので、もっとその繋がりを密にしていきたいです。今までは、部署間のコミュニケーション不足で現場がうまく回らなかったこともありました。これからは自由に行き来できて意思疎通をすぐに取っていける環境があるので、部署の壁を取り払っていきたいです。そしてスムーズに、みんなで現場を気持ちよく回していけるような働き方を深めていきたいです。
櫻井氏:やっぱりうちの会社って売店もあるし、工事もできるし、いろいろな機能や専門性を持っているのが強みだと思います。だからこそ、このオープンなオフィス空間を通して、お互いの業務を可視化しながら、うまく業務的に「助け合える」という関係性や空気感が大切だと思います。一人の担当者や一つの部署だけで抱え込むのではなく、困った時には自然と手を差し伸べ合える。そうやって社内全体で協力し合える温かい関係性を築いていきたいです。